放浪カモメ
第一章〜それはいつもと違う春〜
日常
変わらない日常。
ありきたりな生活。
退屈な授業。
乏しい財布。
二年間の大学生活で手に入れたのは
"情けない"という自分へのレッテルだけ。
「何してんだよオレ…」
山積みになってしまっている期限を過ぎた春休みの課題。
その参考資料を横目に、一番上にあった本をパラパラと目も通さずにめくる。
やがて最後のページまでめくり終えると、少年はパタリとその本を閉じた。
「はぁ。。」
机に顔を埋める様にして深くため息を吐き、自分の現状に苦悩している少年。
名前は鴨居 友徳(かもいとものり)。
勉強も運動も、容姿、スタイル、何をとっても平凡。
唯一の長所をあげるならば、誰にでも人当たりが良く"知り合い"が多いことくらいだろうか。