放浪カモメ
「オレが小学校卒業してからは全然会わなくなったんだけど、高校に入学した時に初めて姉ちゃんの方に会った。」

杉宮はあまり過去を話したがらなかったから、鴨居は今日ここに来れたことを素直に喜んでいた。


「少し仲良くなって、話とかしていくうちにそいつらが姉弟だったってことを知ったんだ。」

杉宮は適当なところで区切るたびに、つまみを口にしてビールを飲んだ。

「そんで、高二の春に告白された。『弟と家で遊んでるのを見てた時から好きでした。付き合ってください。』ってな。俺もさ、そいつのこと良いなって思ってたから付き合い始めた。」

鴨居は杉宮の話に夢中で聞き入っていた。

杉宮が三杯目のビールに手を出したのとは対照的に、鴨居はまだ一杯目の半分ほどしか飲んでいなかった。


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