放浪カモメ
ゆっくりとタクシーが走りだす。

追い掛けずに見送る鴨居。

いつかまた会えると信じて、二人は振り返らずに別れたのだった。

そうして杉宮と梓は東京駅へと向かって去っていった。



ほんの数時間だけだったが、二人はお互いに気にしていた友に会えて満足だった。

きっとこれから先会うことなどほとんどなくなるだろう。

しかしどれだけ時が過ぎようとも、二人で過ごした思い出が薄れようとも、二人は互いを胸を張って親友だと言い張れる。

そんなことを強く確認した再会だった。







そして月日は驚くほど早く流れていくのだった――
< 301 / 328 >

この作品をシェア

pagetop