放浪カモメ
その夜、養母はていねいにメグのベッドの横に布団を敷いてくれた。

ソファーから布団に格上げ。。。。

「カモと二人きりになると旅してた時のこととか思い出すね。」

月明かりがぼんやりと部屋の中を照らす。

「うん。いろんな場所でいろんなこと話した。今思うと最初っからドキドキしっぱなしだったなオレ。」

旅の最中の自分を思い出すと恥ずかしくなった。

メグの一言が、メグの行動が、そしてメグが隣にいるだけで胸が高鳴って仕方がなかった。

「そうなの?なんか嬉しいな。ねぇカモ……」

「ん?」

柔らかな光が街を照らす。

外は、まだまだ肌寒い風が駆け抜けている。

「キスして。」

少しはにかんで言ったメグが愛しくてたまらなかった。

胸が締め付けられるくらいに愛しくて愛しくて。

鴨居はメグにキスをする。





暖かな春の木漏れ日の様な、こんな幸せな時間がいつまでも続けば良い――

そう月に願うセンチメンタルな自分に気が付いて顔が熱くなった。

そんな頬をメグの冷たい手で撫でられると、凄く幸せで……

時間が止まれば良いな。って――

叶わぬならせめて、今はただゆっくりと、君の唇を奪い続けようと……

そんなこと思ったんだ。





名残惜しそうに唇を離す二人。

鴨居は優しくメグの頭を撫でると、メグのおでこにキスをした。

「大好きだよメグ。おやすみ。」

「うん、おやすみ。大好きよ、カモ。」



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