放浪カモメ

まだまだ話したいことがたくさんあった。

もっともっと会いたかった。

また手をつないで。買い物をして。食事をして。イルミネーションに包まれながら寄り添って。

人目も気にせずキスをして。何度も何度もお互いの愛を確認したかった。



そんな希望は、これから先の未来に沢山転がっているのだと二人は信じて止まなかった。

「ま、そういうことだから、もう毎日電話するの止めてね。」

「うー、分かったよ。また、しばらくしたら電話するね。おやすみ。」

受話器を鴨居はそっと置く。

しばらく電話するのを自粛するつもりだった鴨居の元に3日後。予期せぬ電話が鳴り響くことになる。
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