放浪カモメ

杉宮要2


階段は意外と多くて、何度登っても息切れがした。

ようやく屋上へとたどり着き扉を開けると、爽やかな風が吹き込んできた。

目を刺激する強い日差しも何故だか心地よい。

「はぁ……やっぱり、ここは落ち着くなぁ。」

屋上の中央まで出ていって辺りを見回す。

この辺りでは最も高い建造物の屋上に一人で居ると、世界の天辺にいるような気分がする。

「唯一の不満はベンチも何も無いことかなぁ……っと、ん?」


すると、屋上の階段の屋根の上に登れるようになっていることに気付く。

「へぇ…あの上に行けるんだ。なかなか良さそうじゃんか……ん、あれはなんだ?」

少しずつ近づいていくと、屋根から白い煙が上がっている様に見えた。



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