放浪カモメ
………………て、感じだったよ。」

杉宮は昔を懐かしみ、チビッとビールを飲んだ。

「そうだったんですか。……って、あれ?」

山積みになった枝豆の空を見ながら、鴨居は何か頭を抱えていた。

「何だよ……?」

「じゃあ杉宮先輩は彼女と先生とどっちが好きなんですか?」

鴨居の真っすぐで純粋な質問に杉宮は笑顔で答えた。

「両方だよ…両方。」

あっけらかんとした答えだったのに、鴨居にはその答えがとても深い言葉に思えてならなかった。



そこからは、いつも通りの他愛無い話で盛り上がった。

酒も進み、二人が気分よく微酔いになってきた頃。

鴨居に知らぬ携帯番号から電話がかかってきた。

名前の表示されない番号に、多少の疑問を持ちながらも鴨居は電話に出る。


「はい、もしもし鴨居ですけど。」


そして電話越しに、どこかで聞いたことのある声。




「えっ…君は、大川さん!?」

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