放浪カモメ


それからすぐに、桜の季節が終わり深緑が眩しく光る五月になった。


その日、岡崎は午前中の講義に遅刻しそうになり、猛ダッシュで走っていた。

「遅れるー!!くっそぅ誰だよ私の目覚まし止めたヤツは。」

明らかに犯人は岡崎本人である。

しかし、今は自分の否を認めている場合でも、万が一第三者の仕業だったとして、それを詮索(せんさく)している場合でもない。

そう。彼女のやるべきことそれは……

残り五分でいかにして、大学に辿り着くかを思考し、なおかつそれを迅速に実行に移すことなのだ!!

「こんな時に、どこでもドアとか縮地法があれば良いのになぁ……」

そんな夢物語を考えてしまっている時点ですでにアウトな気はするが……それでも岡崎が走り続けていると、大学の手前の交差点で鴨居を発見した。

「あり?カモ先輩だ、どうしたんだろうあんな大勢で。」

鴨居の周りには五、六人の男がいた。

真面目そうな鴨居に群がるいかつい顔に、いかにも不良といった格好の男達。

「ふーん。。。一見するとカツアゲでもされそうな雰囲気っスねぇ……」

岡崎は角に消えていく鴨居を見届け、数歩進む。

そして立ち止まり、再度、鴨居のおかれていた状況を思い出し。

そして、考えられ得る全てのシュチュエーションを思い浮べた。







「つまり…カツアゲ!?」




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