放浪カモメ
岡崎は一目散に鴨居の消えた交差点へと走る。
大人数でダラダラと歩いていたせいか、簡単に見つけることが出来た。
「あ、明らかにヤバい状況っスね。……誰か助っ人を。」
岡崎は鴨居達の集団から、見失わない程度の、距離を保ち追い掛けていく。
鴨居のピンチだが、岡崎本人は「なんだか刑事ドラマみたいっス」と、かなり楽しんでいるのは気にしない。
岡崎はズボンのポケットから携帯を取り出すと、ある人に電話をかけた。
岡崎の知っている連絡先の中で腕っぷしの強そうな人といえば、その人物がパッと思い浮かんだのだ。
「あ、もしもし。カモ先輩が怖そうな人たちに連れていかれちゃって大変なんス。先輩、誰か呼んで助けに来てくださいっス!!」
岡崎は携帯電話を片手に小声で電話をしながら、尾行を続けていく。
そして、とある工事現場に鴨居達は入っていった。
そこは今は工事を行っていないようで、ブルーシートに囲まれていて外からは中を見ることが出来ない場所になっていた。
作業員もいなければ、工事道具が置いてあるわけでもないただの空き地。
人通りも少ないので、中で例え何があっても外の人が気付くことはないだろう。
「コンビニの近くの工事現場に入っていったっス。早く、早く来てくださいっ……要先輩!!」