放浪カモメ


「はぁはぁ。ところでカモさぁ。今日の合コンの人数足んねぇんだけど来ない?」

佐野に投げ捨てられた本を回収し、再度提出に来た杉宮。

何故か息を切らしながら鴨居の隣に座り、何やら問題を解いていた。

提出が遅れた罰。というか聞こえてないと思って悪口を言った罰で、課題をかなり追加されていたのだ。

「…合コンですか。」

鴨居は残りわずかになった問題を解き続ける。

合コンの誘いとあらば、普通の男子学生は二つ返事で参加するものだが、鴨居は何故か気乗りしないようだ。

「あ、でも。お前彼女いるしな。無理にってわけじゃないから。」

鴨居には付き合って四か月になる恋人がいる。

向こうから告白され、鴨居は特に何とも思っていなかったのだが、告白されて嫌な気はしなかったし、彼女の容姿はタイプだったので勢いで付き合いを始めた。

「ああ…別に平気っスよ。どうせ最近会ってないですし。」

付き合ってしまえば、後から愛情もわくもんだろう、そんな考えだったのだが。

付き合い始めても鴨居にそんな感情が芽生えることはなく、今では自然と疎遠の状態になってしまっていたのだった。

「ふーん、もったいないな可愛い顔してんのに。」

「顔だけ。ですから……」

鴨居は全ての問題を解き終えると、ペンを筆箱に投げ入れ課題の本を勢い良く閉じた。

そして席を立ち佐野に課題を手渡し、杉宮に振り返える。

「行きましょ、合コン。」


「おう。」



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