放浪カモメ
「さてと、俺はそろそろ行くよ。昼休みの時間過ぎちまったからジジィが煩せぇだろうし。」
樹はそう言うと、すたすたと空き地の入り口にまで歩いていく。
そして、入り口の所で杉宮が照れ臭そうに言った。
「樹……サンキューな。」
樹は、ふん。と照れ隠しをしながら言い返す。
「礼なんか要らねぇよ。……まぁ、なんだ。兄さんの初めての友達だからな、何かあったら俺も守るさ。」
そして樹は最後に鴨居を見て一言。
「鴨居くん。要…いや、兄さんのこと宜しく頼むよ。」
「…はい。」
そうして樹は去っていった。