放浪カモメ
「オマエさん気付いていないようだから言うが、今のオマエさんの言行が杉宮を傷付けているんだぞ。」
「――えっ?」
鴨居はゆっくりと杉宮を見る。
杉宮は見つめ返すことができずに下を向いた。
「迷惑をかけることを恐れる。頼ることを躊躇する。謝ることでことなきを得ようとする……」
佐野は煙をふうっと吹き出すと、冷たい視線で鴨居に言う。
「まるで、全く興味のない他人との関わり合い方の様だな。」
鴨居と杉宮、2人の胸が痛んだ。
「あの馬鹿は腕を犠牲にしてまでオマエさんを助けた。それなのにオマエさんときたら、これだ……私はほとほと愛想が尽きそうだよ。」
鴨居は最後の言葉を聞いたのか聞かなかったかのか、研究室から飛び出していった。