放浪カモメ





手足に力が入らなくて。

時折空をボーッと眺めている自分に気付いて

少しビックリする。

『しっかりしなきゃ』

……って

自分を奮い立たせてみるのだけれど

また何処か遠くの空を見つめていたりするんだ。

こういうのを何ていうんだっけ?

ああ――

そうだ「五月病」だ。

でも、今は七月だから

「七月病」?

まぁ……

どうでもいっか。。。





「おーい、カモ。死んだ魚みたいな目してるけど大丈夫か?」

杉宮は心配してはいるのだろうけれど、笑いながらそう尋ねる。

鴨居はいかにも、ダルいですよ。という雰囲気をむき出しにして答える。

「…うぃっス。」

返事はしているが明らかに大丈夫そうではなかった。

このごろ鴨居はまた佐野の研究室に頻繁に顔を出すようになっていた。


しばらくの間、杉宮は心配そうに鴨居の頭や背中を小突いていた。

すると、佐野がパソコンに目を向けながら素っ気なく言い放つ。

「ま。最近はハプニング尽くしだったようだしな。それらが一気に解決して、気が抜けちまってるんだろうよ。」

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