放浪カモメ
佐野の言うとおり、最近の鴨居はハプニングに囲まれた生活をしていたと言っても過言ではなかった。

つい三ヶ月前までは、ありきたりな生活に疑問を抱き、

そんな日常を打破しようともせず、なんとなくで過ごしていたのに。



しかし、そんな生活が一変するキッカケとなったのは、やはりあの合コンだったのだろう。

あの日、あの時からの鴨居といえば…


彼女の親友と、酒に酔っていたとはいえ一晩を過ごし。

先輩の驚愕の恋愛事情を耳にし。

一晩を共にした女におどしも同然で呼び出されたかと思ったら

そこに恋人が現れ、別れを告げられる。

あげくの果てには、集団リンチにあってしまい。

先輩や後輩、同級生にまでいらぬ心配や迷惑をかけたと思い悩んだ。


こうして並べてみると、とても三ヶ月の間に起こった出来事だとは、にわかに信じがたい濃い生活をしている。

そんな鴨居が、今のこの魂の抜けかけているような状態に至ったのは、心の休息とでも言ったところなのだろう。


「あぁ…ダルっ。」

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