放浪カモメ
そうして決意を固めた新田は今まさに、その意中の人物と対峙していた。
「あ、えっと……とりあえず座ろうか。」
新田がそう促すと、岡崎は遠慮がちに頷き新田の隣に座った。
こうして恥ずかしげにしている岡崎はまず誰が見ても女の子そのものだった。
本来ならば新田が呼び出したのだから新田から話始めるべきなのだろうが、緊張でそうもいかないらしい。
しばらく静寂が辺りを包んで、初夏のまだ冷たい風が吹き抜けていく。
新田は、何度もシュミレーションした言葉が喉まで出ているにも関わらず、言葉にできないでいることに腑甲斐なさを感じていた。
すると沈黙に耐えられなくなった岡崎から先に話始める。
「あの……穂波先輩。改まって話がしたい、なんてどうしたんスか?」
話始めるきっかけを貰った新田は今の思いを赤裸々にぶつけるのだった。