放浪カモメ
そして、また暫く沈黙が流れたが新田は黙ってしまったわけではなかった。
最後の言葉を自ら噛み締めようとしていたのだ。
「俺、"君を幸せにする"自信は持てないけど。"君を幸せにする努力をする"自信がある。何より君と居ることで俺は幸せになれる確信があるんだ。だから……」
新田の告白の途中だというのに岡崎は何を思ったのか急に立ち上がった。
そして新田を見るなり頭を下げる。
その瞳は、いっぱいになった涙でキラキラと輝いていた。
「ゴメンなさい穂波先輩。私、わたし……」
そう言うと突然岡崎は走ってその場を去ってしまった。