【短編】片想いに貼る薬
手は休めずに作業をしながら
わたしたちは
初めて
お互いのことを話したね。
あなたが中学校まで
サッカーをやっていたこと。
お父さんの仕事
お医者さんに憧れてること。
医学部に行きたいから
高校ではサッカーを続けずに
勉強をがんばっていること。
今は
彼女はいないけど
気の合う子がいたら
一緒に映画とか
ベタなデートをしてみたいこと。
わたしも
面白かった本の話なんかをした。
あなたは
本を読むことなんて
好きじゃなかったかもしれないけど
いい本があったら貸してよなんて
社交辞令をかえしてくれた。