共鳴り
清人は小さく瞳を揺らしていた。


まるで大切にしていた人形を捨てろ、と親に言われた子供のように。


それでも俺は、それが一番清人のためやと思っててん。



「恋愛するなとは言わん。
けど、あの子だけは絶対あかん!」


俺は必死だったんだと思う。


今ならまだ、深入りする前に抜けられるから、って。



「キャバの女なら俺がいくらでも紹介したるわ!
あんな顔が良いんやったら、同じの探してやるから!」


「…そんなんじゃ、ねぇんだよ…」


「じゃあ何やねん!」


戸惑いを帯びた瞳を睨み付ける。


なのに彼は、唇を噛み締めた。



「…俺、レナのこと放っとけねぇんだ…」


「同情で一緒に居るだけやろ?!
それだけのことで、またお前は自分のこと追い込むん?!」


それが男だろうと女だろうと、清人を苦しめるものが許せなかった。


多分俺は、コイツに対しても過保護すぎるんやろうけど。



「…頼むから、あの女だけはやめてくれ…」


願いにも似た気持ちで呟いた。


なのに清人は何も言わず、黙って車を降りた。





清人のためやと思ったのに。


なのにアイツは、そんな俺の忠告を聞き入れることなく、影でレナちゃんと会うことをやめなかった。

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