共鳴り
レナちゃんとは、コンビニで何度か会った。


俺、実はめっちゃコンビニ好きで、新製品のチェックとかするのが楽しいんやけど、街のコンビニ行くとよく会うねんな。


まぁ、向こうも店の近所やし、出勤前って感じやけど。


俺のあからさまな嫌味にも、受け流すように答えるだけで、大して反応することもない。


ホンマ、清人とどういう関係やねん、って無性に苛立ってくる。


長く寒い時期を終え、春になる頃やった。


毎年花穂ちゃんの命日が近付く度に、清人はおかしくなるんやけど、今年はちょっと異常やった。



「俺多分、今年は当分帰らねぇと思うから、後のことよろしくな。」


疲れを通り越したような、頼りない瞳。


今年もまた、花穂ちゃんの墓参りに行って、そしてあの両親に頭をさげに行くんやとは思うけど。



「当分って?」


「わかんねぇけど、ちょっと旅でもしようかと思って。」


心配は心配やったけど、反面、その方が良いのかもしれない、とも思ったんや。


何もかもを溜め込みがちな男やからこそ、ちょっと息抜きさせてやった方が良いんじゃないかな、って。


レナちゃんとの関係は、影で相変わらず続けてるようやけど、そんな気配は一切見せないヤツやねん。



「なら、俺もそのうち会いに行くわ、って花穂ちゃんに伝えといてや。
俺らはいつまでも花穂ちゃんと友達やで、って。」


言うと、一瞬瞳を大きくした清人は、悲しそうな瞳でわかった、と言った。


遠まわしに釘を刺したんや。


あんなわけわからん女の所為で、大事な花穂ちゃんの存在忘れるんちゃうで、って。


多分それは、清人にも伝わったんやろう、彼は真っ暗な空を仰いだ。

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