共鳴り
“みゆき園”

それが施設の名前。



でも、全然立派なとこじゃなくて、ちょっとボロやった。


園長先生が個人でしてるみたいなとこで、あとはボランティアさんが来てたわ。


部屋も何人かと同室やったけど、やからこそ、孤独感は少なかった。


けど、虐待されてた子は多かったわ。


一時預かりが主や言うても、それぞれが抱える闇の中で泣いてたんや。


優しくて良い子が多くて、昼はみんなで仲良く遊ぶねん。


でも、夜になるとすすり泣くねんな。


中一の俺はおっきい組やから、泣いたりはせんかったけど。


でも、そういうのもあって、やっぱ夜は今も嫌いやねん。





俺はまだ、幸せな方。



事故で自分だけ助かった兄ちゃんが居た。

自殺ばっかしようとする姉ちゃんも居た。




みんなそうやって何かしらを抱えてたけど、俺はそうじゃなかったから。


何にも考えてなかったんや、俺。


全部捨てたと思ってたから、そら悩みの種もないわなぁ。


カウンセリングとかもしてくれるんやけど、俺、空っぽやからさぁ。


毎日楽しく過ごしてたつもりやったけど、理乃はあの頃を振り返る度、「りっくんは冷たい目をした優しい人だった。」って言うねん。


まぁ、死んだように生きてたんやろうね。


生きたいとも死にたいとも思わなかったし、ただ陽が昇って沈む様を見届けて、一日が終了、みたいな。


そんなんの繰り返し。

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