共鳴り
チャコールはいつの間にか、通常のノミ行為をする店に戻っていた。


清人はふたつの店で金貸したり、ケツ持ちしたり、ネットで集めたゴトの打ち子を仕切ってたり、とにかくやることはいつもながらに手広いらしい。


海外で集めた偽ブランド品を流してみたり、クスリ売ったり、もちろんアッシーくんしたり。


そんな時でも、“シュウ”という単語は聞いていた。



「お前さ、何こそこそやっとんねん。」


「ん、人探しだよ。」


「それ、嶋さんらには内緒やんな?」


「俺の私用だから。」


私用って、何?


俺らは昔から、何も話さなくてもお互いのことわかりあってたはずやのに。


そう思うと、やっぱりやるせなくなるねん。



「そいつ探して、どうなるん?」


いぶかしげに問う俺に向け、清人は小さく口元を緩めて見せた。


なのに、それでも何も言わなかったのだ。


俺の知らないことは、いつもレナちゃんに通じること。


だからこそ、その“シュウ”ってヤツのことも、レナちゃん関係なんやと思った。



「そんなんしとる場合ちゃうやろ!」


「…わかってるよ。」


わかってへんやん、お前。


疲れた顔して、何もかもを背負い込んで、結果、自分が苦しむことになるのに。


気付けばいつの間にか、清人とのこんな口論が増えた気がした。

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