共鳴り
どこが一番痛いかって、心や。


何をしてでも、自分を犠牲にしてでもいつも俺を庇ってくれてた親友を、売ったんやから。


嶋さんの消え残った煙草が、床に落ちたまま、白灰色を立ち昇らせていた。



「俺は何でもするから、あいつらに手出さんでくれ!」


「…てめぇは指でも咥えて見てろよ。」


吐き捨てられた言葉が落ちる。


それでも俺は、必死で縋るように顔を上げた。



「キヨの目は俺が覚まさせるから!
理乃だって何も関係あらへんねんから!」


「じゃあ何が出来んだよ?」


問われ、弾かれたように俺は、唇を噛み締める。


清人が俺の言葉を素直に聞かないなんて、それすら嶋さんにはお見通しなんやろう。


言葉が出なくなり、顔を覆った。



「てめぇらの安っぽい友情劇は見飽きたっつったろう?
まぁ、せいぜいギンは、妹と仲良くやってろよ。」


はっと笑い、嶋さんは満足げな様子できびすを返した。


多分、理乃には何もしないだろうし、手を出したってメリットはない。


けど、清人は?


清人とレナちゃんは、何をされるん?


想像するだけで身震いを覚え、俺はその場にうずくまった。





裏切り者。
裏切り者。
裏切り者。



俺は裏切り者やねん。


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