共鳴り
「…お前っ…」


「俺、これから忙しくなるし。
ついでにギンちゃんのお仕事も手伝ってやるよ。」


おどけたように言い、清人は俺の頭をくしゃくしゃっとした。


泣きそうやった。



「…ホンマにごめん、キヨ…」


どの程度喋ったかなんて、問題じゃない。


嶋さんは俺が言った“霧島シュウ”って単語だけで、レナちゃんのことまで暴いたんやろうから。



「別にお前が俺に謝る理由ねぇじゃん。
みんな生きてんだし、何の変わりもねぇんだからさ。」


心底自分の情けなさに、嫌気がさした。


あの時清人が俺やったら、きっと舌噛み切ってでも何も言わなかったやろう。



「…レナちゃん、は?」


「アイツはちゃんとわかってるよ。
だからホント、お前が気にすることじゃねぇんだって。」


コイツはレナちゃん失いそうになっても、俺と理乃の関係を守ってくれたんや。


どうすれば良いのか、わからなくなる。


ごめんな、ごめんな、と俺は、繰り返すことしか出来なかった。






それからの清人は、前にも増して冷徹に仕事をこなすようになった。


まるで金を稼ぐことに取り憑かれてでもいるかのように。


その理由は、何度聞いても教えてはくれなかった。


一歩間違えばパクられるか、もしくは殺されるようなことでも進んでやる。


そして俺に、疲弊した顔を隠し続けていたんや。

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