共鳴り
レナちゃんは、理乃とも清人とも重なる部分を持ち合わせてる。


やからムカつくけど嫌いになりきれなかったし、巻き込んだのは俺も一因やろうから。


同情にも似た気持ちで見てしまうねん。


俺は彩って女を指名した。


これなら風俗行かせても結構な金になるな、と値踏みしてしまうが。


多分裏で話を通していたのだろう清人は彼女を一瞥するだけで、素知らぬ顔でレナちゃんを指名していた。


あぁ、もうヤッてるんやな、って。


俺の横につく彩を前に、レナちゃんの顔がわずかに困惑していたのは見逃さなかった。


良くも悪くも勘が良くて、そして可哀想になってくる。


それでもレナちゃんは、さすがはプロっつーか、隙があるように見せるいつもの接客。


清人はほとんど彼女のことを見ることはなく、表情を崩すことはない。



「何だかレナさんって、ギンくんと付き合ってるみたいですね。」


彩の一言は、さすがに俺も驚いた。


したたかな女とは聞いてたけど、全員を試すように、そしてレナちゃんとジルを遠ざけるかのような言葉。



「でも、レナさんってあたしとは違ってモテますもんねぇ。
お客様の中にもレナさんのこと本気で好きな人多いみたいだし。」


彩は更に、何食わぬ顔でそんな台詞や。


それでもレナちゃんは、笑った顔を崩すことはなかった。


嘘で塗り固められ、腹を探り合うような会話が2,3交わされ、これじゃレナちゃんがあんまりやと思う。


何でここまでするねん。


清人が言う“罪滅ぼし”って何?

< 145 / 339 >

この作品をシェア

pagetop