共鳴り
もう、レナちゃんと会うな、とは言えなかった。


こんなことしてまでレナちゃんに隠し通したいってことは、本当は一番大切やってこと。


それでも、そんなレナちゃん傷つけてまで、それをすることの意味。



「…今日、彩迎えにいくから。」


「あの子のフォローは後回しや、って?」


清人の瞳は、ひどく冷たいものだった。


そして自らでそれをふっと緩め、悲しそうな顔をする。



「やっぱ俺、アイツのこと殺しそうだわ。」


吐き出し過ぎて壊してしまう、という意味やろう。



「アイツ多分、何も聞いてこねぇよ。
んで、何も言わない俺に何事もなく笑うの。」


自嘲気味に言いながら、彼はネオンに彩られた街を見つめる。


お前ソックリやな、と返すと、清人は小さく笑った。


いっつもお前、そんな顔してレナちゃんの話するん、気付いてないんやろうなぁ。



「レナは多分、この後ホストんとこでも行くんだろうし。」


「…ホス?」


「アイツ、多分そっちのこと気にしてるから。」


理乃が他に男を作る行為と同じことやろうか?


寂しさを埋めてくれ、より傷つかない方を選ぶなんて、誰が考えても賢明やけど。



「それでえぇん?」


問うたのに、清人はいつものように悲しそうに笑うだけやった。


ダメとは言えない、なんて、俺と同じやね。

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