共鳴り

清人

人生は辛いことばっかやったとは思わへん。


それは多分、俺には親友がおったからやと思う。


アイツは俺のヒーローや。






オカンが死んで以来、中学なんか行ってなかった。


けど、落ち着いたら行かなあかんのは当然で。


俺、見知らぬ土地に転校や。


施設から通うから当然なんやけど、その施設っちゅーのもじーさんとかが世間体気にして県外の役所に申請してたから、もちろん関西ちゃうくて。


まぁ要は、ここ、どこですかー、みたいな。



「高槻陸くんだ、仲良くな。」


おまけに途中の時期に転校してきて、仲良くなぁ、言われても。


昔はクラスの人気者やった。


勉強はちょっとダメやったけど、スポーツ出来てん。


女の子にも人気やってんけど、そんな俺は死んだからなぁ。


無言のまま、席に着いた。


施設のみんなは同じ痛みを知る“仲間”みたいな感覚やったけど、ここはそうじゃない。


やっぱみんな敵やねん。


事情を知ってる教師は気を使うばっかやったし、クラスメートのアホそうなツラも嫌いやった。


つか、俺いつの間にか中二になってるし、みたいな。


時間の感覚ってなかったけど、真新しい教科書開いた時、頭の中ハテナだらけやん。


やから余計、学校行きたくなかってん。


けど、園長先生とかに心配掛けたくはないから、とりあえず行く、みたいな。

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