共鳴り
「あぁ、あれはあかんわ。
ちょっと前に喧嘩してから、俺無視されてんねん。」


「へぇ、キツいねぇ。」


ホンマやで。


どうして俺ら、喧嘩するしか出来んのやろう、って。



「ホンマは離れるべきなんやろうけどねぇ。」


「それ、何回目だよ。」


痛いところを突いてくれる。


曖昧に笑いながら酒を流すと、胸焼けに襲われるんやから、嫌になる。



「結局さ、俺らには女を大切にするとか無理なんだよ。」


わかりきっていることをわざわざ言葉にした清人は、やっぱり物悲しげな顔をしていた。



「レナちゃんの、どこがそんなに良いん?」


「良いとか悪いじゃなくてさ。
俺、アイツのこと放っとけないっつーか。」


お前と一緒だよ、と清人は言う。


俺が理乃に似たようなものを感じてるのと同じ、ってことやろう。



「やったら俺ら、ホンマに兄弟かもしれんねぇ、キヨ。」


俺が笑うと、清人も笑った。


視線を滑らせ窓の外へと移すと、真っ黒な色に飲み込まれそうになる。


記憶の中に沈んでしまいそうや。

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