共鳴り
「立派な理由だよ。
目的を持って進路を決めろ、って担任の先生も言ってたし。」


「勝手な解釈すんなや!」


「勝手?
お兄ちゃんの方が勝手じゃん。」


俺は眉を寄せ、「何やと?」と睨み付けた。



「今まで学校のことなんか興味も示さなかったくせに、電話が掛かってきたからっていきなり何?
急に保護者ヅラして、それって勝手って言わないの?」


言葉が出なかった。


学校の話なんか聞いたって、嫌味のように男のことばっか教えられるし、そんなの聞きたくないと思ってたのに。


なのにお前、俺がどうしたら満足すんねん。



「この家出て、どうやって生活するつもりやねん!
大体お前、どんだけ金必要かわかってんのか!」


「お金の心配はいらない、って自分で言ってたじゃん。」


「何で俺がお前のひとり暮らしのために金出さなあかんねん。」


睨み合いやった。


しかも、金の話で喧嘩なんかしたくもないのに。



「だったら体売れば良いんでしょ?」


刹那、俺は彼女の胸ぐらを掴み上げた。


理乃は驚いたように目を見開き、喉の奥をヒクつかせる。



「それがどういうことかわかって言うてんのか?
生半可な考えやったら許さへんぞ。」


理乃は堪らず目を逸らした。


俺や清人がどんな想いでいるか、そしてセックスが嫌いだと言いながら本番嬢のレイコさん。


みんなみんな、そうでなきゃ生きられへんねん。

< 160 / 339 >

この作品をシェア

pagetop