共鳴り
二日後、初めて来た理乃の高校は、やっぱり場違いやとしか思えんかった。


まだ少しあどけない顔した生徒たちは、一応スーツ着てきた俺をいぶかしげな目で見ながらも、どこかビビってる風や。


まぁ、“普通の保護者”には、どっからどう見ても見えへんやろうけど。


理乃のためにもなるべく来ない方が良いと思ってたけど、まさかこんなことで呼び出されるとはな、って。


職員室で挨拶すると、若い女の先生っぽいのが3年3組まで案内してくれた。


学校の匂いが懐かしくて、あの頃の俺や清人や花穂ちゃんの影を探してきょろきょろしてると、階段を登った先に目的地を発見。


ドアを開けると、真ん中に向かい合わせで置かれた席にはもう、担任と理乃の姿があった。



「すいません、遅くなりました。」


「いえ、どうぞお掛けください。」


40代くらいやろう、少しキョドった担任やった。


まぁ、俺見てデカい態度する馬鹿もおらんやろうけど、これじゃ生徒に苦労させられてるんやろうなぁ、って感じのヤツ。


一瞥した理乃は、やっぱり俺の方を見ようとはしなかった。



「先ほど理乃さんが、北海道の大学に行きたいと言いまして。
就職なら沖縄だ、と。」


あぁ、そうですか。


つか、ナメたこと言い過ぎやろ、コイツ。



「理乃は地元の大学に行かせます。
それ以外は許さんつもりですから。」


どうせこんなことやろうと思い、俺は用意していた台詞を並べた。


理乃は驚いたように「はぁ?!」とか言ってるが、無視を決め込んだ。

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