共鳴り
「…その、高槻さんは親代わり、と伺っていますが。」


「だったら何ですか?」


おずおずと言う担任を、俺は睨み付けた。


施設育ち同士で、しかもこんな見た目の俺が、って言いたいんやろう。



「…いえ、地元の大学と一概に言われましてもね。
理乃さんの出席日数には顕著な部分がありまして…」


「サボりは無理、ってことですか?」


「…いや、その…」


難しい言葉を選びながら、はっきり言いたがらない姿に、苛立ちが募る。



「何が教師やねん。
つまりはアンタ、俺のこと馬鹿にしてるんやろ?」


「…いえ、そういうことではなくて…」


やめなよ、と理乃が口を挟む。


あからさまに舌打ちを吐き捨ててやると、担任は更に縮こまった。



「俺が大学行かすって言うたんやから、アンタは黙って理乃が行ける大学探したらえぇねん!」


これじゃただの脅しやで。


理乃は諦めたように視線を窓の外のグラウンドへと移す。


夕方なのに、恐ろしく重たい空の色やった。



「お前、そんな成績悪いん?」


「…前回の試験も白紙で提出したものもありまして…」


代わりに担任が答えた。


俺かて名前くらい書いたで、って。


いや、そういう問題じゃなくて、どこまでも反抗的やなぁ、と思う。


これじゃ何のために一緒に暮らしてるのか、俺が何のために骨身を削って学校に行かせてるんかがわからへんやん。

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