共鳴り
「そういやお前、夏前に理乃の担任締め上げたって言ってなかったけ?」


弾かれたように顔を向けると、清人が新しいビールを手に思い出したように聞いてきた。


何でお前は俺の思考がどこにあるかわかってんねん、って。



「別に締め上げてへんって。」


「で、どうなったの?」


「次の日、家帰ったら担任がおってな?
しかも菓子折り持参で頭下げてくるねん。」


「…何で?」


「俺もビビって何やってんねん、って言うたんやけど。
保護者とトラブってすいませんー、校長やPTAにはどうか内密にー、って。」


「あぁ、自分の評価気にして?」


「そうやろうねぇ。
先生様も大変やなぁ、と思ったわ。」


「…思っただけかよ。」


「そらそうやん。
邪魔じゃボケー、って追い払ってやったわ。」


清人は声を上げて笑った。


お前さっきまでレナちゃんのこと愚痴ってたくせに、って。



「理乃とは?」


「仲良しはその日限り、ってな。」


「…何やったんだよ?」


「まぁ、ちょっとな。」


誤魔化すと、清人はふうん、と言ったきり、それ以上は聞いて来なかった。


問題は、あれから2日後に起きたんや。





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