共鳴り
あれは、ホンマに夏休み直前やった。


昼に起きると、玄関には理乃の靴があり、出掛けた気配がない。


あのアホはあれだけ言うたのにサボりかい、と舌打ちを混じらせ、彼女の部屋をノックした。


が、もちろん反応はない。


ドアを開けると、未だパジャマ姿でベッドの中の理乃の姿。



「こーら、お前は学生の分際で何やってんねん。」


言いながら傍まで近づくと、少し上気したような荒い息使い。



「…熱でもあるん?」


「関係ないでしょ。」


「あーっそ。」


どう見ても元気じゃなさそうなのに、口だけは相変わらずの達者や。


まぁ、これなら学校行けんくてもしゃーないやろうけど。



「何で俺のこと起こさへんねん。
病院くらい連れていくやん。」


「…別にそこまで熱高いわけじゃないし、寝てれば治るもん。」


「何で風邪って決めつけるねん。
そういうのがあかんねんぞ?」


うちのオカンだって、風邪だと思って放置してたんや。


そしたら大病やって言うし、もうあんな思いもしたくないねん。


それでも理乃とは口論にしかならない。



「夜遊びしてるバチが当たったんや。」

< 168 / 339 >

この作品をシェア

pagetop