共鳴り
言ってやると、理乃は唇を噛み締めるようにして体を起こす。



「平気だって言ってんだから出てってよ!」


「…そういうわけにもいかんやろ?」


ただの風邪でも、それが理乃なら俺は心配やねん。


過保護すぎなのかもしれないけど、やっぱ担任が言ってた“寂しいから”ってのもわかるんや。



「大人しく寝るまでは俺ここ動かんぞ。」


「…お兄ちゃんがいなかったら寝てるわよ。」


「何でやねん。
何でもかんでも俺の所為にすんなや。」


一応俺も温和な人間やと思ってるけど、でも、理乃の前だけではそうなれない。


売り言葉に買い言葉とでも言うのか、とにかくいつも喧嘩腰や。



「今日はどんな我が儘飛び出すねん。」


「…何それ、聞く気もないくせに。」


「聞けば良いんやろー?
エッチ以外やったら何でもやったるわー。」


ぶっちゃけ、棒読みやった。


「何でも?」と理乃がいぶかしげに聞いてくるから、俺もまた棒読みで「はいはい、何でも良いですよー。」と返す。



「…じゃあ、キス、してよ。」


いや、待て待て、ストップや。


さすがに驚いて顔を向けると、視線を落とした理乃は唇を噛み締めるように、布団の端をきつく掴む。


本気かいな、お前。



「そしたら大人しく寝ててあげるわよ。」

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