共鳴り
ガシャーン、と音がした。


瞬間的に、俺の真横をかすめるように、机が宙を舞っていた。


もちろんそれは、俺がやったわけやない。



「くだらねぇんだよ!」


その瞬間、教室中が静まり返る。


一番後ろの席の、もうひとりの“腫れ物”である危険人物が、声を荒げている。


学校なんて来たり来なかったりのヤツやけど、名前だけは知っていた。



「…一条?」


黒髪で、怖い顔して、制服着てへん男。


もちろん喋ったことなんかなかったし、多分向こうも俺なんか眼中になかったと思う。


一体何が起こったのかと俺が呆気に取られてる間に、彼はクラスメートのひとりに殴り掛かった。


女子の悲鳴と、止めに入る声。


多分それが俺にとって、清人との一番初めの思い出やと思うけど。


つか、何でハジメマシテも言うてへんお前が先に、しかも勝手に暴れてんねん、って。



「どけや、お前!
俺が殴る場面やろうが!」


そう言った瞬間、今度は俺が殴られた。


もう、クラス中はめちゃくちゃや。


けどな、久々に生きてること思い出したわ。


生きてるって痛いねんな、叫んで、飛び蹴り喰らわして、ぶん殴って。


アレはホンマ、久々に楽しかったで、俺も。

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