共鳴り
いや、確かに“エッチ以外なら”って言うたけど。


沈黙の中でため息を混じらせながら、俺は途方に暮れた。



「やっぱりお兄ちゃんは嘘つきだね。」


「…は?」


「無理ならあたし、このままの格好で外行くよ。」


俺がキスしなかったら出ていく、って?


どんだけ脅すつもりやねん。



「お前、熱で馬鹿になったんちゃうん?
アホなことはえぇから、大人しく…」


「何でいっつもそうやって誤魔化すのよ!」


遮られ、言葉が出なかった。


ぶっちゃけ、理乃が女の顔をする度に、そんな言葉を俺に投げる度に、どうして良いのかもわからんくなんねん。


やっぱりお前、俺の気持ちなんか考えてへんやん、って。



「誰とでもヤッてんだったら、あたしとだって一緒じゃない!
キスのひとつやふたつで…」


刹那、俺はその口を塞いだ。


唇と唇が触れ、理乃は見開いていた目を逸らすが、でも俺がそれを離すことはない。


そのまま押し倒してやると、彼女の瞳は涙で滲み始めた。



「これで満足なんやろ?
やったら治るまで大人しく寝てろや。」


そのまま俺だけ体を起こし、背を向けた。


後味最悪のキスや。


こんな風にしたかったわけちゃうのに、って思いながら、唇を噛み締めた。



「…何で、こんなことっ…」

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