共鳴り
翌日の夕方、電話は突然やった。



『カレー食い損ねたから赤飯奢れ。』


清人やった。


命令口調なのに消え入りそうな声で、俺はその瞬間、全てを悟る。



「…終わったん?」


『わかんねぇけど、ありゃもうダメだ。』


「微妙なんやったら誤魔化したり出来るやろ。」


『彩と居るとこにレナまで来ちゃって、どう誤魔化せと?
つーかこれ以上、俺アイツのこと縛れねぇし。』


それは決定的やなぁ、と肩をすくめた。


いつかはこうなるってわかってても、実際辛いものがある。



『しょうがねぇよ、天罰ってヤツ?』


彩に、家に行きたい、と言われたらしい。


どの女にも絶対に家を教えなかった清人やけど、何度も言われ、最後には断りあぐねたのだと言う。


全ては金のためやった。


けどそこで、相鍵渡してたレナちゃんが来て、何も言えなくなったって。


あの部屋で過ごすのはレナだけって決めてたのに、やってさ。



『アイツはさ、それでも俺の誕生日祝おうとか思ってくれたわけじゃん?
けどさ、俺は…』


「もうえぇよ、キヨ。」


ぽつり、ぽつりとまるで懺悔するように事のあらましを俺に聞かせた清人。


俺は言葉を止めてやることしか出来なかった。


普段は自分の中に溜め込むくせに、今度ばかりは無意識のうちなんかもしれん。



「赤飯パーティーしたるから、今どこや?」

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