共鳴り
清人は街の中心部にほど近いコンビニに居た。


曰く、「彩を送ってフラフラしてた。」らしいけど。



「で、彩はどうなったん?」


「どのみち仕事あるらしいしさ。
何か空気悪くなったから帰らせたよ。」


ふうん、とだけ、俺は返した。


これから夜を迎える街は一層華やぎ始め、俺らとの対比に余計に物悲しく見えてしまう。



「25になった感想は?」


問うと、笑って最悪だろ、と返してくれる。


昼間の暑さが残ったように、まだ通りは蒸し蒸しとしていて、肌に纏わりつく熱気に汗ばむのが、気持ち悪い。


清人は煙草を咥え、空を仰ぎ見ていた。


男ふたり、コンビニの前に立ち尽くしたままどれくらいやったろう、陽が沈む様をただ黙って見届けた。


また長い長い夜が来る。


花穂ちゃんを失って、やっと見つけたレナちゃんは希望の星やと思ってたけど、星屑になってしもうたんや。


清人だけが悪いわけやないのに、コイツはまたきっと、自分を責めるんやろう。


自分の所為で、とか、傷つけたのは俺だ、とか。



「それでもな、例え何があっても俺と清人は一緒やで?」


「運命共同体だ、って?」


「アホか。
プロポーズやって言うてるやん、昔から。」


大丈夫だから、わかってるから。


そうやって俺らは、必死で生きてきてん。

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