共鳴り
壊れそうな清人を見るのは、もう何度目かも思い出されへん。


“ヒーロー”は決して無敵やないって、子供じゃない俺はわかってるから。


清人だってただの人間やねん。


人一倍痛みには敏感で、でも、傷つけるくらいなら自分が傷つく方を選ぶ男。


だからこれ以上、レナちゃんのこと追わんかったんやと思う。


夜を迎え、コンビニの看板にも明かりが灯る。



「行こうや、そろそろ。
俺が寿司屋のおっさん脅して世界一の赤飯作らせたるから。」


「いや、寿司屋って酢飯以外あんの?」


「お前は馬鹿な突っ込みせんでえぇねん。」


行くでー、と清人を引いた。


彼はだらだらと歩きながら、しょんぼりした子供みたいな顔やったけど。



「ギンちゃーん、高い酒奢ってー。」


「赤飯やって言うてるやろ、ボケ!
つーか人混みで俺の名前叫ぶな、ポン中やと思われるやろ!」


酔っ払いみたいな清人に蹴り入れてるところで、俺は視線に気が付いた。


顔を向けてみれば、そこにはまさかの人物の姿、プラスアルファ。


俺が口元を上げると、清人は眉を寄せたような顔に変わるが、向こうは驚いたような感じやった。


4人の視線がそれぞれにぶつかり、騒喧に紛れた沈黙の中で、一番に口を開いたのは俺。



「何やもう、ホンマに運命感じるわ。」

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