共鳴り

俺らと誕生日

翌日、清人が「ごめんねー。」と軽く言うと、レイコさんは「何のこと?」ととぼけてくれた。


そして、馬鹿な子たちね、勝手な子たちね、と言いながら、何事もなかったかのような顔で出勤していた。


ヤクザのくせに早寝早起きしたがりな嶋さんは、珍しく大欠伸やったけど。


レイコさんと一緒に居たからかな、とは思ったけど、でも何も聞かなかった。


誰も変化を顔に出すこともなく、毎日を過ごそうとしている。


目に見えないものだらけやね。



「うわー。
久しぶりに会ったねぇ、銀二。」


「国光さんやん!」


チャコールの一件以来、国光さんはほとんど俺らの前に姿を現すことがなくなっていた。


多分嶋さんの命で裏で色々動いてるんやろうけど、何をやってるのかは不明。


聞かされてないってことは“聞くな”ってことであり、どのみち飼い犬の俺らは指示がないと動く気もないし。


やっぱりぶっちゃけ、未だに組がどうのとかに興味はないねん。


ただ俺らは、命令されたことに従うだけやし、そこに選ぶ権利もないってだけ。



「相変わらず軽薄そうですねぇ。」


「うん、褒め言葉として聞いておくよ。」


実はおっさんのくせにチャラい見た目にプラスして、ガムはくちゃくちゃしてるし、ひょろひょろの変な人のままやし。


普通に歩いてても職質されそうなのは相変わらずや。


彼は嶋さんに耳打ちし、またすぐに出て行ってしまう。

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