共鳴り
清人はあれ以来、連日のように色んなキャバクラに通ってた。


仕事とか関係なしに女を持ち帰り、多分レナちゃんの穴を埋めるように抱いてるんやろうけど。


見張る意味でも付き合ってやってたけど、あの馬鹿の飲みっぷりは異常やってん。


さすがに俺でも毎日が二日酔いで、ぶっちゃけ勘弁してくれよ、とか思ったけど、言えるわけもなく。



「お前、体壊すで?」


そんなお前見ても、花穂ちゃんもレナちゃんも喜ばへんよ。


寂しそうな顔して、置いてけぼりの子供みたいで、昔からコイツは、ずっと変わらへん。



「…けど、あの部屋に帰るよりはマシ。」


清人はぽつりと呟いた。


未だにレナちゃんとの思い出に溢れたあの部屋は、そのままにしてるみたいや。


どんどん大きくなる孤独、そしてそんな自分自身を持て余す清人。


悪循環の中で、俺は彼を彩の家に送ってやった。


そして重たい体を押して家に帰ると、カレンダーの日付けは俺の誕生日の前日。


いや、正確に言えば、数十分前、と言った方が正しいやろう。


久しぶりに自分の家に、時計の針が真上に重なるより前に帰れたらしいが、嬉しいとは思えない。


俺だって、この部屋に帰って来たいわけじゃなかった。


ソファーにうな垂れ、目を瞑ると必ず、あの日の理乃とのキスを思い出す。


変態お兄ちゃんか、と笑うことしか出来ないけど。



「今日は早いんだね。」


声に弾かれたように目を開けると、自室から出てきた彼女の姿。


また俺はため息を混じらせ、こめかみを押さえた。

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