共鳴り
時計の秒針は規則的に時を刻みながら、ゆっくりと進んでいる。


頬が痛くて、でも心はもっと痛くて、そしてやるせない中で、理乃の瞳が微かに滲む。



「そんなにヤりたいんやったら、彼氏でも呼べばえぇやんけ。」


「…お兄ちゃんは、あたしが誰とヤろうと何とも思わないの?」


「だって俺、“お兄ちゃん”やもん。」


明確に、明確にしてやらなければならない。


じゃなきゃ俺は、簡単にこの関係を壊してしまいそうで怖いねん。


そしたら理乃は、今以上に苦しむことになるから。



「お前は俺の中で“女”ちゃうねん。」


逸らした視線の向こうで、時計の針が真上に重なった。


この一瞬を境に、俺は25になったってことや。


実感なんてないどころか、苦々しいばかりの瞬間やった。



「そんなんよりお前、早く進路決めろや。
くだらんこと考えるより前に、やることあるやろ。」


言ってやった瞬間、理乃はやっぱり唇を噛み締めながら、俺の胸ぐらを掴んで泣く。


震える手で揺すられて、何でよ、何でなのよ、って吐き出すように繰り返して。



「…何であたし、りっくんのこと嫌いになれないのよっ…」




苦しくて、

辛くて、

そして悲しかった。



近すぎて、

孤独を埋めたくて、

でも互い以外を見つけられない。




「…もう、わかったから…」

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