共鳴り
泣きじゃくる理乃を抱き締めた。


きつくきつく抱き締めながら、迷いの中に飲み込まれていく。


泣かせたくはないけど、でも好きとは言えないのだ。


俺は唇を噛み締めた。



「…何でこんな男が好きなのよっ…」


「りぃ。」


「…何でアンタみたいなのを愛してんのよっ…」


「理乃!」


強くその名を呼ぶと、理乃の肩が上がる。


それ以上聞きたくなくて、でもどうすることも出来なくて、彼女の瞳はそんな俺を見上げて揺れていた。



「そんな悲しい話、したらあかんよ。」


「悲しい話じゃないよ!
何で人を好きになることが“悲しいこと”になるの?!」


理乃は綺麗すぎるねん。


汚れてなくて、無垢で、純粋で。


きっと真っ黒な俺がこんな風にしたから悪かったんや。


ソファーに座る俺の上に乗るように、理乃の顔が数センチの距離にある。


苦しみばかりしか与えてやれなくて、幸せを望む理乃は、なのに俺じゃなきゃダメだと言う。


真っ直ぐで、理乃は俺の捨てたものの塊みたいや。



「俺、誕生日やのに理乃の泣き顔なんか見たくないねん。」

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