共鳴り
「りっくんの誕生日なんか祝えないよ!
また遠くなっていくりっくんなんか嫌いだよ!」


こんなに近くて、でも遠すぎるねんな。


俺の所為で、コイツはどれだけの涙を流すんやろう。


俺だけのための涙やのに、ちっとも嬉しくなられへん。


苦しいはずなのに手放せないなんて、今更になって清人の気持ちがわかる。



「ちゃんとあたしのこと見てよっ!」


ずっと見てたよ。


可愛くて、きらきらしてて、笑顔いっぱいの頃から理乃が一番大事やってん。


一緒に暮らすようになって、どんどん別の男の手で“女”になっていく理乃のこと、ずっと見てたんや。


けれどまた、俺は目を逸らした。



「どうやってアンタのこと嫌いになれば良いか教えてよ!」


刹那、俺は体を反転させ、彼女の体をソファーに押し込めた。


理乃の驚いた瞳が持ち上がるが、それより先に、俺は唇を奪う。


無理な体勢のままに舌を入れ、キャミソールの内部へと触手を侵入させる。



「ならホンマに嫌いにさせたるわ。」


こんなことを言いたいんじゃない。


こんな風にしたいわけじゃないのに、俺は馬鹿やから他の方法が思いつかんねん。


気を抜けば愛しさばかりが溢れてしまいそうで、なるべくひどく、なるべくひどく、って言い聞かせて。


そうでもしなきゃ、理乃が気付いてしまう。

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