共鳴り
ソファーはまるで悲鳴のように、ぎしぎしと軋んでいた。


自分がどんなことを言ってるかくらい、わかってるつもりや。


清人はレナちゃんのこと、それでもなるべく傷つけないように、って考えてたみたいやけど、俺は逆やねん。


親に捨てられた理乃が唯一縋ってたのが俺。


なのにそんな俺が、理乃を切り捨てる言葉を使ったんや。



「ホンマにウザいねん、お前!」


邪魔だと言いながら、唇に触れる。


ウザいと言いながら、肌を滑らせる。


まるで言い聞かせるように、同時に自分の身を切るように。


白くて、綺麗で、汚れなく熱い彼女の頬には、冷たい涙が伝い続けていた。


俺の背中に刻み込まれる爪痕、理乃の中に刻む俺自身。


終わりに向かうなんて、わかってるんや。




それでも愛しくて。

ただ愛してるから。






「…りっくんっ…」


呟かれた名前に、うな垂れた。


唯一彼女だけが、俺の名前を呼んでくれる。


愛しくて、悲しくて、苦しくて、悔しくて、そして切なくて。


喉元まで出掛かった言葉を飲み込むように、代わりに欲望を吐き出した。





最悪やん、俺。



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