共鳴り
たまに、わからなくなる。


何で俺はアイツを愛してるんやろう、って。


そもそもこの気持ちが“愛してる”なんかどうかも、よくわからへん。


それほどまでに、俺と彼女は良い添い過ぎているんやろう。



「勝手な男ね。」


レイコさんの呆れ顔。


もう何度、同じことを言われたやろう。



「可哀想ね、理乃ちゃん。」


「…わかってるわ、そんなん。」


突き離せない。


けど、受け入れることも出来ないんや。


レイコさんは、いつも決まって可哀想、と言う。


理乃ちゃんは可哀想、アンタはダメな男ね、と。



「こんな俺が理乃を抱いて良いわけないねん、だっけ?」


そうや。


俺は理乃を傷つけたくはないだけやねん。



「だから中途半端?
血も繋がってないくせに、兄で居る必要なんてないじゃない。」


「レイコさんには関係あらへんやろ!」


思わず声を荒げてしまえば、「相変わらず勝手な男ね。」と、彼女はあからさまに肩をすくめて見せる。


苦しいねん、こんなん。


でも、どうにも出来ないんだから。


俺は女を抱くのが仕事、やからこそ、理乃だけは抱いたらあかんねん。


例え血の繋がりなんかなくとも。

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