共鳴り
「愛してるでぇー!」


と、抱き付いた瞬間、怪訝な顔をされた。


ホッぺにチューしてやると、彼は驚いた拍子に倒れてしまい、俺は押し倒すような格好になってしまうが。



「…おい、シャレになんねぇよ。」


「キヨと俺の仲やんけー。」


「いや、謝るから許して。」


仕方なく体をのかし、鼻歌混じりに俺は、勝手知ったるように冷蔵庫に向かう。


清人の部屋の冷蔵庫ってのは、とにかくビールだけは常備されている。


何がなくてもこれだけはあるねん。



「お前今日、誕生日じゃなかった?」


「やからお前に祝ってもらおうと思って来たんやん。」


「じゃあ、何やったらそんな泣きそうな顔になれんの?」


ビールの缶のプルタブを開けると同時に問われた台詞に、俺は思わず空笑いを浮かべてしまう。



「こんなに楽しそうにしてるやん、俺。」


「どこがだよ。
つーか、お前ほど単純なヤツいねぇんだから、俺の前でまで誤魔化せると思ってんの?」


どきっとした。


わざとおどけるように言ってるはずやのに、さすがは付き合い長いっつーか、俺のことよく知ってる男やで。



「やったら何も聞かんといてくれるー?」

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