共鳴り
軽く言ってみれば、彼はあからさまに舌打ちを吐き捨て、煙草を咥えた。


そして苛立ち紛れにシャツを羽織り、背を向ける。



「ちょっ、待て待て!
これから酒盛りパーティーやのに、どこ行く気やねん!」


「理乃んとこー。」


驚いて、そして俺は言葉に詰まった。


そんな俺の反応に、やっぱりな、と清人は言う。



「俺が知る限り、今のお前の乱れっぷりは史上最悪。」


「…やから理乃と何かあったんやろう、って?」


「つーか、ヤッたんだろ?」


俺は諦めるように宙を仰いだ。


どんだけ鋭いんやろう、キヨくんは。



「しみったれたお前慰めるより、今ひとりの理乃を放っとくことは出来ねぇよ。」


お前は相変わらず、惚れちゃうくらいに格好良い男やなぁ、って。


ビールを流し込み、ふらふらと俺は、ソファーに身を投げた。



「当分ここ泊まりたいなら、どうぞお好きに。」


「随分優しいやん。」


「俺もそっちのがありがたいし。」


「…何で?」


「彩がここに来るの拒否る口実になるから。」


ふうん、と言った。


相変わらずこの部屋は、レイコさんとこみたいに時間が止まったままや。



「未だにレナちゃんだけや、って?」

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