共鳴り
あんまり無視しすぎてたらキレられるのが目に見えているので、「ダイエット中でーす。」と言ってやった。


はははっ、と笑った嶋さんは、瞬間、ガッと机を蹴り飛ばす。



「笑えねぇんだよ、そういうの。」


笑ったやんけ、今。


一瞬にして賑わいを見せていた店内は沈黙に包まれ、他の客と店員は恐る恐ると言った様子でこちらを伺っている。


まぁ、嶋さんと居るとこんなん日常やし、気にもならんけど。


清人は俺の横で、顔色ひとつも変えずに片膝を立て、煙草を咥えたっきりや。



「俺、生理中でーす。」


そんな彼の言葉に、今度は呆れた様子の嶋さん。


どうせ噛み付いたって何にもならへんし、それどころか返り打ちにされるのが目に見えてんねん。


多分俺ら、もうなるようになれ、くらい人生を諦めてるんかもしれん。


たかが女ひとりに、されど女ひとりに、って感じやけど。



「国光が居なきゃ、お前らとはロクに会話も出来ねぇ。」


嶋さんは、そう言って宙を仰いだ。


確かに国光さんが居れば、べらべらとああでもない、こうでもないと言いながら喋り続け、場の空気が止まるようなことはないんやけど。


やからこそ、こんな3人で集合したってつまらんばっかりなわけやけど。



「そんなに俺らに相手して欲しいん?」

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