共鳴り
「そういやお前らももう、25だっけなぁ?」


「レイコさんと同い年の、や。」


わざとらしく言ってみるが、彼の表情が変わることはない。



「何が言いてぇんだよ?」


「別に。
あの人とタメになった、ってことだけやん。」


嶋さんはいぶかしそうに眉山だけを動かして見せる。


この5年、謎に包まれっ放しのふたりの関係は、やっぱり今も聞くことはなくそのまま。


レイコさんが死んだら、この人でも泣いたりするんやろうか、なんて考えるが、答えは見つけられなかった。



「…タメ、ねぇ。」


嶋さんは多分、彼女の生い立ちやもちろん本当の年齢、そんなの全部を知ってるような顔をしてる。


ふと、久しぶりにこの人と冷静に座って話してる自分が居ることを思い出し、また少し笑えた。



「アンタ俺らの父親気取ってるつもりやったら、誕生日のプレゼントでもくれて、機嫌取る素振りでも見せたらえぇやん。」


「…プレゼントだぁ?」


嶋さんは顔を歪める。



「情報やんけ。」


「…何のだ?」


「清人とアンタがどんな密約交わしたか教えてくれたら、俺にとっちゃ最高のプレゼントやで。」


そう言うと、彼は鼻で笑いながら「知りてぇのか?」と問うてきた。


清人が無心で全てを犠牲にし、金を稼ぐ理由はこの人との“ゲーム”やろう。


やからこそ、その理由が知りたかった。



「それを知ったら、てめぇにとっちゃ最悪のプレゼントになるぜ?」

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