共鳴り
清人はとにかく、制服を着ない男。


ズボンは辛うじて穿くいてるけど、もちろん規定の物じゃない。


大体はパーカー羽織ってて、学ランは「どこいったっけ?」やって。


そういや金属バット振り回してた時もあったわ。


でも本人は、「野球やったことねぇし、やらない?」とすっとぼけ連発。


教師はヒヤヒヤやわな。


これの所為で、学校の窓ガラス割られてたんも、清人の所為にされてたけど。


喧嘩は恐ろしく強かった、と思う。


でも、これがまた気まぐれな男で、先輩らに囲まれても勝つくせに、後輩ひとりにやられたりもするや。


気分が乗らんかったら、手も出さない。


やられっぱなしの時もあれば、相手が気を失うまで、我を忘れて殴ることもある。


冷たいほどの一面もあれば、ひどく脆さも見せたんや。


周りが言うほど恐ろしい男じゃないことはわかった。


優しいほど情に深いところがある、良いヤツや、ってことも。


自分の中に確固たるものを持ってて、信念があんねん。


良いことも悪いことも、とにかく自分のものさしや。


それが清人なりの、社会への必死の抵抗やったってこと、後になって気付いたけど。


アイツも懸命に生きてたんや。

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